15歳まで一人称が僕だった。
『メトロポリス』を観た。
人造人間であるティマ。
原作の漫画も読んだけれど、あの美しさの描写はどこにもなかった。
無垢であり、無垢なまま壊滅するジグラッドに落ちていく彼女の姿に心奪われた。
8歳の頃、喧嘩が好きだった。
ポケモンが好きだった。本はそこまで好きではなかった。
我慢強い子だと言われることが多かった。
この頃からため込むことが多かったのかもしれない。
13歳の頃外国で暮らし始めた。
二メートル近い青眼の先生に見下ろされるのが恐怖だった。
この頃、いじめられていた?自分でも疑問符をつけてしまう。
言葉も通じない中、漠然として異物感を自分自身に感じていた。
泣きながら英語を勉強していた。
周りが中学生レベルの勉強ができる中、自分は語学ができないというだけで幼稚園児レベルの絵本を読まなければならなかった。
授業中はずっとゲームをしていた。先生もそれを黙認していた。
19歳
大学で自分は役者を何度かやり、調子に乗っていた。
同機は同期で自分の考えるところを持ち始め、冷戦状態が長らく続いていた。
そして俺は大失敗をする。演出/役者/照明のプラン/舞台美術という、だれがどう見てもヤバい役割の掛け持ちをし、処理できなくなり、すべてが中途半端になり、役者との信頼関係は破たんした。
その後半年間ほど演劇を離れた。勉学にいそしんだわけではない。丁度秋休みだった。
1歳の頃、記憶がない。
砂場で黙って座っていると思ったら、砂を食っていた。
母の談である。
14歳の頃、学校でごく小規模な障害事件を起こして停学になった。
外国に来て一年たっていた。
ヒアリング能力は向上したが、全く会話能力が身につかなかった。
端的にいうと、友達ができなかった。
一度遊びに誘ってもらえたことがあった。
約束の日、彼らは来なかった。一緒に連れて行った弟には、自分が日にちを間違えたと嘘をついた。自分を心配していた母親にも嘘をついた。
今思うとあれはTuesdayとThursdayを聞き間違えただけだったのかもしれないけれど、あのころの自分はからかわれたのだと感じた。
ますます孤立した。その代わりに本が好きになった。
授業終わりに言われたつまらないことで、何かが切れた。
右手でそいつの首をつかみ、呼吸できないように弱いところをつかんだ。
握力はあまり強くなったが、相手は顔を真っ赤にしながらかすれた声を出していた。
目は見下ろすように僕を見ていた。恐怖の目だったのか、なんでこんなことをされるのかわからないといった顔だったのか。脚色された記憶は頼りにならない。
何がきっかけか忘れたけれど僕は彼の首から手を放し、壁にへたり込んで感情があふれ出て泣いた。周りに先生とか、生徒とかが集まってきてざわつき始めた。
あまりこういう表現はしたくはないが、この記憶はこれでフェイドアウト。
2歳。
「友人と話をしているときにテーブルの上の食べ物に手を伸ばしていた」
母の談である。ちなみに現在の私の体重は60Kg、身長は173Kg。
18歳の時、演劇サークルに入った。
人生で最高の選択だった、と今でも思う。
大学の一年生というのはつまらないと入学したときに思った。
私立偏差値。上から確実に五位内にはなる。国立大学に入るべきだったか、
と心から思った。高校時代に感じた孤独感をまた味わうのかと思った。
入った学科も、想像したプロセスを踏むような学部ではなく、面白くなかった。
なぜ自分の話す言葉に、もっと反応を返してくれないのだろうかと俺は思っていた。
その時の自分は、言葉を返す能力がないのだと思った。
言葉を返す能力がある人間がいたのが演劇サークルにいた。
今思うと、口と屁理屈と人間関係をこねるのが上手い人間が集まっていた。
この言葉には愛をこめている。
22歳の頃、一年半付き合うことになる女の子と出会う。
もう別れたが、冷静に書ける自信がない。
ただ、色々なことを学んだ。付き合っているときも、別れた後も。
24歳。
今までの人生でつらいことはたくさんあった。
とてもじゃないけれど、全人類の中でみて、自分は相対的にかなり恵まれた人間だとおもうのであまり辛い辛いといえない。
実は、今が一番辛い。
一日のスケジュール。
仕事が終わるとき、仕事へ行くとき、色々な考えが渦巻いて泣き出したくなる時がある。
自分はこの仕事を続けていてなりたい自分になれるのか/今いる環境からはたして抜け出せるのか/いつか自分と対等に話せる人間が現れるのか/いや自分が心を開ける相手とは言うのは社会人になってから現れるのか。
こういった思いをポジティブなモチベーションに変える術を覚えるのにだいぶ時間がかかった。
苦しみがあるというのも悪くない。これがこの歳に知りえた人生訓だった。
25歳。
一人称「私」が使いこなせるようになっている。
一日のスケジュールが毎日決められるようになっている。
効果的な情報収集ができるようになっていて、かつそれを整理する能力が身についている。
…これも別途記事にする必要がある。